手首のところを逆の手の指でむにゅっと押さえると手首に玉みたいなのが浮き出てくる
その数には個人差があるらしく、その数と将来の子供の数が比例するという噂が教室の中で飛び交い、一人一人みてまわる女の子が現れたことがあった
〇〇くんは何人
〇〇ちゃんは何人
男子なんかはその子にみられることを、顔を赤くして喜んでいるようにも見えた。
でも、それと同時に不安みたいなものが僕に襲いかかってきたのを覚えている
もしかしたら、この女の子に将来を決められてしまうのではないか
みんなヘラヘラしながら「俺2人やってさ」「俺はー?」とか言っているが、実権を握っているのは未来ではなくてこの女の子なのかもしれないという恐怖
あかん、このままじゃ未来の家族構成を他人に決められてしまう
逃げ道をさがしたが、この空気感の中僕だけ教室の外にでるのは不可能だった
どうしようと焦っていると、ついに僕の元へ
占い師がやってきてしまった
堂々たる出で立ちの占い師は僕の手首をむにゅっとし、とても難しい表情になった
そして
「んー、2か3やな。」と言った
2か3…
なぜか僕の診断結果だけ、やけに現実味を帯びていた
「え、玉ないやん、結婚できひんやん」とか言われてみんなに笑われたなら、(どうせインチキやし)と忘れる材料になってくれるのだが、僕の時だけフルパワーをだして占ったみたいなのだ
その結果、僕は平静を装い顔は笑っていたが内心めちゃくちゃ焦っていたし数日間真剣に悩んだりもした
そんなくだらない出来事が明るい未来を脅かしてしまうんじゃないかと怖くなる過去があったのだ
今となってはその女の子が誰であったかも思い出せないのに、突きつけられた言葉というのは体からなかなか抜けてくれないなと気付かされる
そもそも、玉2つの人と玉3つの人が結婚したら子供の数どうなんねんという疑問が脳みそをかすめもしなかったことがまさに小学生だな、と少し笑えた
ってか、この玉なんやねん