母親がなにも言わないのに
大事な試合の日には
好物の唐揚げを必ず多く入れてくれていること
でもベンチにも入れず
自分は汗も流さないまま
お弁当を食べるだけだった
ごめんとありがとうと
いろんなものが混じって
何も言えないままだった
最近、友だちの前ではお父さんのことを
親父と呼んでいる。
家ではお父さんのままだ。
最近お父さんともお母さんとも
そんなに話してない。
でも、お父さんがお母さんに
僕の成績のこと、部活のことをこっそり聞いていることは
何となく知っている。
この前の学校での三者面談で
成績のことを、先生にもお母さんにも怒られた。
もう少し、僕は頑張れるらしい。
頑張ればできるらしい。
昨日歯を磨いて、寝ようと自分の部屋に入る前に
お父さんに呼び止められた。
お父さんにはこれまでも
頑張れと言われたこともない。
でも頑張るなとも言われていない。
やりたいようにすればいい。
ってぼそっと昨日話した。
やりたいことがまだ全然わかんないけど
少し胸につっかえてたものが軽くなった気がした。
お父さんは僕が幼いころの家族写真を
今もずっとくたくたの財布に入れている。

「あなたの夢はなんですか?」
「若さとは何だったんでしょう」
「雨を好きになれる歌がききたいです」
ごましおパンチ | ![]() |