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誰の

 
 
 
コンビニで誰かが僕を目掛けて距離を縮めてきている気配がする
 
 
 
まだ僕の目はゆらゆらと並ぶグミしかとらえていない
 
 
 
こんな平和な時間を侵食しつつある気配が僕を襲う
 
 
これは…
 
やはり。
 
 
あっという間にその気配は僕の足元にまで及んだので怯えながらすっと見下げた。
 
 
「ぱぱ…」
 
「ぱぱ…」
 
 
よちよち歩きの女の子つぶらな瞳。
 
全く体に浸透してこない単語。
 
頭の中がすっからかんになって、
後頭部をバットでぶん殴られたような衝撃を受けた。
 
 
コンビニの中の商品も全てほんの少しだけ揺れたと思う。
 
 
 
「…」
 
 
「すいませーん。」
「…ちゃん。ほら、行くよ。」
 
「ぱぱ…」
 
「ぱぱじゃないよ。」
「ぱぱはあっち!」
 
「ぱぱ」
 
「だから、ぱぱじゃないって、ほらもう行くよ」
「ほんと、すいませーん!」
 
 
「いえいえ、ははは。」
 
 
女の子は連れて行かれながらも僕の顔から目を逸らさない。
 
 
「ぱぱ」
 
まだ、言っている。
 
 
 
僕はまだ誰のぱぱでもなかったはず
 
 
休日の昼間にそんな事実を再確認する。
 
 
やっと出てきた言葉
 
 
「いえいえ、ははは」
 
 
って。
 
 
ダサい。
 
 
 

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