夜になると玄関の扉付近にカメムシがうじゃうじゃ現れます。
あの緑が蛍光灯と呼応してとても不気味です。
控えめに言っても大嫌いです。
ひゃっ!とか、きゃっ!とか悲鳴を出させて自分の中の隠しておきたいダサさを思い出させてきます。
むかしむかし付き合っていた彼女と「あたたかくなってきたなぁ。」などと、とりとめのない話をしながら歩道を歩いていると、首元にピタッと何者かが張り付いて、虫なんやろなとはわかったものの変に声をだしたりしてからかわれたくなかったので、恐怖心を腕にのせてエゲツない速さで首元を払った刹那、臭爆弾の起爆装置に触れてしまい、彼女の顔をみながら見せびらかすようにえづくという将棋でいう詰んだ状況に追いやられた過去をマスクの内側に忍ばせ生きているのが僕なのです。