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勘違いボーイ

小学4年生の時のこと。
 
みんなで考えた答えを言い合う、わいわい楽しい授業があった。
 
 
どんな乗り物が未来にできるかな?
 
宇宙人はいると思う?
 
将来になりたいものは?
 
 
そんな感じだった。
 
 
 
「はいはい!はーい!はい!」
 
 
みんな自分の答えを発表したくて、収拾がつかない状況。
 
 
自分の隣にいた高橋君は大人しい子で声も小さかった。
 
何度も手を挙げるが、当ててもらえず諦めかけていた。
 
 
いつもはクラスの派手な子たちに注目されないようにしている高橋君が、発言しようとしている。
なんとかしてこの高橋君の考えたことをクラスみんなに聞かせたかった。
 
 
一緒に帰ったとき、この公園のつつじが美味しいと教えてくれたし
遠足帰りのバスが隣になったとき、「このドングリは妹にあげるねん。」といってたし
「白い線から落ちたらサメがおるから負けな」というゲームも一緒にしたことがある。
 
 
「せんこう!!!!」
 
 
高橋君を当ててほしくて、自分が大きい声で先生を呼んだ。
 
 
「こら!おまえ!」
めちゃめちゃキレられた。
 
全く意味が分からなかった。
 
 
自分は師匠とか教授とか、そんな意味だと思っていて
先生を最大限に尊敬してますよ。だから当ててね。
 
つまり太鼓持ちをしたわけです。
 
 
 
先生は怒り心頭で授業は中断し、えぐい空気になった。
 
そこで初めて、これはあかん意味やったんかと何となく理解した。
 
 
でも、「先生、僕意味知らなくて。ほんまは良い意味やと思ってたんです。」
なんて言えなかった。
 
なんか負けた気がする。
 
小学生ながらの謎の抵抗だった。
でもその気持ちは今も何となくわかる気がする。
 
 
 
その後、クラスのみんなからも睨まれた。
お前はこの楽しい時間をぶち壊したんやぞ。
というのが伝わってきた。
 
それでも勘違いしてたっていうのはダサくて言えなかった。
 
 
隣を見ると、高橋君は黙って窓の外を見てた。
 
 
ごめんな。

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