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Story

誰かの青春。

 
「おめぇらまだおったんかい。」
 
「…。」
 
「はよぉ帰って勉強せい!勉強。
一に勉強。二に勉強。就寝時間も削ぎまくれっと」
 
「ちょっと邪魔しないで下さい。」
 
「お?なぁんや、またケッタイなことして。」
「なんのポーズやそれぇ」
 
 
「大蛇に打ち勝つことで己に打ち勝つ、それ即ち人生の理りを示すなり。」
 
「はぁ??」
 
「天文学的観点に数学的要素を絡ませ、生命観にたどり着く、ということです。」
 
「よけいわからんわ」
「頭おかしなったんとちゃうか?」
 
 
「あ。今バカにしましたね? 」
「あーあ、残念だなぁ、知らないなんて損するなぁ。」
「な?ヨッシー、」
 
「うんうん。」
 
「言うたれ、ヨッシー」
 
「いいですか?先生。
この右手の角度は東の空への感謝を現してるんです」
 
「そしてこの空気イスは己に打ち克つ為の鍛錬というわけです。」
 
「それから昨日食べた、ご飯粒ひとつひとつを思い浮かべ……」
 
 
「ふっ、吉田がなにを偉そうにいうとんねん、」
「そんなことより、お前な日本史のテスト
わからんとこ全部卑弥呼で埋めるのやめぇよ」
「もう出てこんぞ、卑弥呼は!
いつまでも卑弥呼ばっかり書いてんちゃうぞ!しょーもない。」
「そのポーズも一緒や、はよやめるのがお前のためや」
 
 
…………………………………………………
 
「あいつ、絶対、家帰って一人でこのポーズやっとるな」
 
「やってるやってる」
「意味なんて何もないのに」
 
「いつもの癖でてたしな」
 
「あれな。
口の中で舌転がすやつな。
俺の話聞いてるとき高速で動いとったで。」
 
「舌で口の中にメモかいとんねんで。 あれ。
ヨッシーが言うたこと全部。左右の頬裏には字がびっしりや」
 
「こわー。」
 
「明日一緒にズル休みやな
カラダの調子が悪いんですーいうて。」
 
「いいけど、それしてなんか意味あんの?」
 
「あのポーズしてた俺らが調子悪い言うて休む。
ほな、なんかカラダの調子悪くなった気してくるで、あいつ。」
 
「自分も家で必死にあのポーズしたからな、」
 
 
 
「東の空へ感謝。って」
 
 
 
 
 

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