2019年6月、映画鑑賞録。
合計16本。
日本映画2本。【⚪︎マーク】
外国映画14本。【⚫︎マーク】
アニメ0本。【☆マーク】
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⚪︎『あさひなぐ』
⚪︎『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
⚫︎『宇宙人ポール』
⚫︎『ペインレス』
⚫︎『フード・インク』
⚫︎『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
⚫︎『スタンリーのお弁当箱』
⚫︎『スタンド・バイ・ミー』
⚫︎『ティファニーで朝食を』
⚫︎『ヒア アフター』
⚫︎『フィールド・オブ・ドリームス』
⚫︎『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』
⚫︎『レディ・バード』
⚫︎『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
⚫︎『トゥルーマン・ショー』
⚫︎『メメント』
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スタンドバイミー を観て、純粋な好奇心だけで突き動かされた自転車旅を思い出した。
あれは日中の蒸し暑さの継ぎ目のような、心地良さが目立つ涼しい夜だった。
体力と時間を持て余していた高校生の僕らは「今から自転車でどこまで行けるんやろ」という無計画な計画をたててしまった。
僕らと言えど、僕を合わせて二人しかいなかったのだが、どちらからか発せられたその言葉に僕らの心は嬉々と弾んだ。
目的といえばたったそれだけなのに、二人はすぐに家を飛び出し夜風に体当たりするようにママチャリを漕ぎ出した。
二人は阿保みたいに饒舌になり、ゲラゲラと笑い、たまに立ち漕ぎになったりした時には色んな事を忘れて息ができた。
こうなれば誰が止められるというのだろう
カラダはぐんぐんグングンと進む
寝静まった見たことない町。
繁華街の知らなかった鋭利な夜の雰囲気。
異質なのは僕らの方だったが、そんなこと御構い無しにママチャリはさらに進む
あらゆる光景を新鮮な感覚で取り入れるように走り続けた。
突如訪れる終わりも知らぬまま。
未知を取り入れれば入れるほど、進めば進むほどにお互いの口数は減った。
自転車の車輪が軋む音やブレーキの音が際立つようになってきたことには気付いていたはずで
さらに慣れない海を側に感じては少しおっかなくなり、蓄積された疲れというものにも気付いてしまったぼくら。
そんな時偶然降り出した小雨と、工事中で行き止まりになっている道を見て「もうここまでにして帰ろ」
とどちらかが溢した。
とても急だったが、そもそもの目的から言えばこれで正解なのだ。
片道30数キロを走り、たどり着いたのは須磨の海の匂い漂う工事中の看板だった。
宝はなかった。
「帰りは来た道と違う道で」とまだ何かにしがみついていたかった2人だったが、徐々に頭角をあらわす疲労感に勝つことは出来ず、
結局は一番最短の大通りを無言でひた走り、日常に戻りつつある空の色のグラデーションを見てお互い何も言わずに感動していた。
ピークに近づく疲労感を騙すために食べた朝マックはこれまた感動だった。
馴染みのないマクドに、僕らにしか馴染まない自転車をとめ、店内の窓ガラス越しに見る馴染みのない情景の中食べるマクドナルド。
大袈裟だがこんな朝は今までなかった。
そこから2人はまた少し饒舌になり、自転車を馴染みある地元へ向かわせたのだが、無事家に着いてからも色んな物が少し変わって見えた
いつもの道、家族の顔つき、洗濯物の匂い、朝のいつもの情報番組。
どれもどこかよそよそしかったが、何故か「そんなもんさ」と自分を休めるように目を閉じた。
後日、他の友人にこの自転車旅の事を話すとみんな笑った。
そこに面白さも少しあったのかもしれないが、大部分を占めるのは嘲笑の類だった。
「そんなことしてなんの意味があるねん。時間の無駄やろ。」
「あほやろ。寝ろや」
でも、僕はそうなることを少しわかっていて話をした。大人になったら感じることが出来ないものを俺は身につけてきたぞと。
それを笑われることによって、再確認したようなものだったのだ。
やはり、これは冒険だったのだと。
壮大で自由で下品で豊かな。
いまだにあの夜のあの朝の匂いを思い出せることがその事を正に証明してくれているのだと思う。