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ご賞味機嫌。

 
MV撮影に使おうと思って
1年ほど前に購入したラムネを飲んだ。
 
賞味期限が切れていたから、炭酸が抜けているのを覚悟して封を開ける。
 
ぺりぺりー。
ゴトンっ!
しゅわしゅー。
 
ん。
やっぱり迫力がない。
 
 
ラムネって
しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわー
くらいのポテンシャルがあったと思うんだけどな。
 
 
(いやいやいや、
放置したのは自分やないですか、文句ばかり言わず飲んでみなはれ。)
 
 
 
ごくり。

ごくごく。
 
 
味さん?
 
おーい
 
…味さん味さんどこ行った。
 
 
出席をとるが、返事はいつまでもない。
 
 
やる気を無くしてグレ、微炭酸になった炭酸よりも
味の事が気にかかる。
 
なぜ居ないのかがわからない。
わからないわからない。
 
元から『味』というやつはこのクラスには居なかったのか?
 
だけど今日は、仲良しの『におい』からも返事がない。
 
 
カランころん。
ビー玉が。
俺は今日もいますがな、と呼びかけてくる。
 
取り出して、口に放り込む
 
ビー玉だ。
 
間違いなくビー玉はビー玉だが、あやしい。
少し甘さが強くないか?
 
こいつなにか隠しとるな
 
 
訝っていることがバレないように
そっと光に透かして見てみる
 
 
 
おぉぉおおおおおおおおおおっ
 
見える、みえるぞ。
 
僕が放置していた間のラムネ組の苦悩が
次から次へと。
 
(あぁ、。)
 
ボソっとそう呟いた時。
ある場面に切り替わり、謎がとけた。
 
 
「待ち人来ず」と書かれたTシャツを着た、
『味』と『におい』がメリーゴーランドに乗ってケラケラと腹を抱え笑っていたのだ。
 
 
しゅわしゅわしゅわー。
 
 
 
出席簿。
においと味を欠席から出席に変え
ビー玉には二重丸をつけた。
 

ラムネ