“私は宇宙からきた妖精です”
と書かれたTシャツをきたおじいちゃんがママチャリに乗っているのを見かけた
あ、
おじいちゃんではなくて妖精だった
見ようによっては妖精に見えるのではなくて、見ようによってはおじいちゃんに見えると言う方がのちのち僕の命が守られる気がするのでそういうニュアンスで受け取って頂ければと思います
僕の前に現れた妖精は小柄ではあったが、上手にママチャリを乗りこなしていた
妖精が住む惑星にも、自転車あるんや。と思った
羽があるのか確認したかったが、Tシャツが青色だったので透けることはなかった。
浮くこともなかったが、それはTシャツに刻まれた”私は宇宙からきた妖精です”でカモフラージュしていたのかもしれなかった
妖精が差し掛かろうとしている横断歩道の信号が赤になった
妖精はこれっぽっちも止まる気配を見せず信号無視をした
プーーー!
当然のようにクラクションをならされた妖精がビクンとなる
どこみてんねん!
まさかの妖精の方が言った
Tシャツに書かれた言葉も見ずにクラクションならしやがって、俺を誰やと思ってんねん!妖精やぞ。
という意味だろうか。
グレーのバンにのったおじさんは窓をあけた
あぶないやろ
はよどけ、くらぁあ!
妖精は急にぽかんとしはじめる
怯えているように見えたのは気のせいか
喧嘩をふっかけたくせに、
相手からの脅しには何を言っているのかわかりません
という素振りで再び自転車を漕ぎ始めたのだ
多分この妖精は、知らんぷりの仕方のレクチャーをうけたばっかりなんだ
「彼は妖精なんです。
だから、許してあげてください。
厳密に言えば、流暢な関西弁を喋る妖精なんです。」
とバンの男性に説明したら信じてくれるだろうか
僕なら500%信じない
あほみたいな金色をした腕時計をしていたから
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