宵の空気にとろける
よそよそしい一歩ずつ。
「くだらねぇとつぶやいて、醒めたつらして歩く」
見上げた角度に月を探索。
両耳になだれ込む音楽。
そのさなか月を見上げるのはこの世で私と誰?
どこかの誰か。
私は今歩いています。音楽を携えて。
季節の終わりを告げるかのような体感温度です。
半ズボンがもう浮き足立っていて、なぜか少し寂しい。
「夏の終わり、夏の終わりにはただ貴方に会いたくなるの。」
何かに触れたくなり、歩道に植えられた桜の木を触った
春にならなければ生きているのかわからない。それでも春になればちゃんと生きているだろう。いや今も生きている。
桜ってそういうものなの?
その下には生死判別つかぬ蝉がいたから、私は小さなジャンプで飛び越えた。
スキップが出来ないというアイドルを思い出した。
真似をした。
スキップ、スキップ。
けんけんぱっ、
グ〜リ〜コ!
楽しくなって、ひとりで人目を憚らず。
スキップ、スキップ、
音楽プレーヤーからカナル型へ。
カナル型から私の全部。
「僕は歩くひとり見上げた月は悲しみです
僕は歩くひとり淋しい人になりにけり
僕は歩くひとり冷えた手の平を見たのです
僕は歩く新しい夜を待っていた」
林檎を齧りたくなった。
シャリシャリ、じゅるる。
イヤフォンは既に一本の血管のよう馴染んでいる。
外れないうちは無敵だから、
踊るように歩くし、主人公みたいに池の波紋みるし、期待の曲がり角はユートピア。
今日も明るい。
ほら、自分の影をごらんよ。
月並みな感情でも恥ずかしくないや。
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誠に勝手ながら、
今回の物語の中に僕がとても好きな曲の歌詞を入れさせていただきました。
尊敬の想いでいっぱいの音楽です。
エレファントカシマシさん
「今宵の月のように」
森山直太朗さん
「夏の終わり」
サカナクションさん
「アルクアラウンド」