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Story

衆口

 
 
僕の水中メガネ
 
 
僕の水中メガネは僕に合っている
 
 
みんな僕のことをわかっていない
 
 
あんなにも面白くないやつに騙されて、ゲラゲラ笑うみんな
 
 
僕が同じ事を同じ声量で言っても、痛くて悲しい奴になるんだ
 
 
だからね、
 
 
僕は僕に見合った言葉を僕の声量でちょろちょろたれ流してみた
 
 
そしたらさ、それなりの人間になってしまったよ
 
 
僕は僕を変えられないの?
 
 
僕を変えても僕だけど。
 
 
こんなにもぴったりくっつく水中メガネ。
 
 
ジャストフィット
 
 
普段かけてる眼鏡は耳が痛くなる
 
 
ママには言わないけど。
 
 
明日はこのまま学校に行ってやろうか
 
 
だってこんなにもぴったりなんだ
 
 
少し暗くなるところもすきなんだ
 
 
世界がグレーで染まるんだ
 
 
もしかしたら、みんな消えてみえないかも
 
 
笑い声だけが僕を包むんだ…
 
 
湯船にぶくぶく
体も顔も沈ませる。
 
 
「ここでは僕が船長だ!」
 
 
船長はいつだって弱音をはかない
 
 
ぶくぶくぶく
 
 
ふぅ~。
 
 
今日はもうお風呂あがろっ。
 
 
 

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