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片道30分原付で。

 
あの日と変わらない佇まいで人の往来を許し続ける、この駅を利用したことはない
 
すぐ側の小さな公園で朝まで話をすることにかまけて、だからこそなんとか過ごせた日常を思い返す
 
滑り台に座りながら空を見上げると高速道路が視界に入り、生きているという事を少しだけ忘れられた時間達
 
 
隣にいたあの人はどうだったのだろう、
 
 
あの人は、よく歩いてはよく躓いた
 
そういう人だった
 
僕にはとても優しい人だった
 
 
 
僕は、僕は
 
深夜と早朝しか知らなかったこのまちの動く姿を今日初めて見た
 
 
駅を温める夕陽は美しくはなかったが、
いい雰囲気の本屋さんに気づくことができて、なんか嬉しかった。
 
嬉しかった
 
 
 
だけど、あの公園にはまだ行くことができなかった
 
 

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